夕方の街   F


 暮れ始めた街に白いものが風に舞っている。新築の黒い建物に浮かんでは消える、「生き残り雪」と名付けているが北の方で下に落ちずに流れてきた雪、長い旅をしてきたかも知れない雪の群れ、はぐれ雪とも言えるかも知れない。やがて地面に落ちて消えて行くのだろう。
翔平は思わず「こんにちわ」と声を掛けた、それは雪に対してだったが、偶然通り掛けた女性が「こんにちわ」と、御近所だが話などした事のない人だった。

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