ハン・ガンのエッセイ
「そっと静かに」と言う本の中に、ピアノを習いたくて仕方なかったと書いている。紙の鍵盤を叩いて仮想のメロディを弾いたと。貧乏だったからピアノを習えなかったと。やがてピアノ教室に行けるようになるが行かない。母親が「あなたの紙鍵盤を叩く音を聞くのが辛かった」と。
私の長女が5〜6才の時、今は無きヤマトヤシキにヴィクトロンを習いに行った事を思い出した、ヴィクトロンは家人の母親が買ってくれた、私は薄給のサラリーマンで当時20万はしたその楽器が買えるはずがない。長女は習いながら毎日泣いていた、そのうちそのうちと言う間に諦めた。長女は真面目で勉強もよくしたが、あの楽器だけはそれほど嫌だったのだろう。今ならわかるが、、、、、今その楽器はもう使えない、真空管だから直すのも難しいそうだ。それ以来娘が望む事以外はやらせなくなった。
ハン・ガンさん55歳、娘より少し歳が上だ、その文章は相変わらず神秘的だ。
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