NHK織本順吉

織本順吉、92歳、バイプレーヤーとして、有名な俳優である。いわば、作中の隠し味の様な俳優である。 彼の現在の姿のドキュメンタリー。 足下覚束かず、言葉もはっきりしない。しかし、この有名な俳優の晩節を汚すかも知れないドキュメントを何故撮ったのか、撮らせたのかわからない,彼の娘がプロデユウスしたのか、NHKからオファーがあったのかわからないが、番組はすさまじい。 彼が娘や妻に怒鳴る、 妻「私の身にもなってよ」 夫「そういうなよ」 妻「何で叱られるのよ」 夫「黙れバカヤロー」 と、怒鳴りあいが続く。 娘が言う 「ボロボロになっても織本順吉である、と。 顔はふやけて水につかった食パンのようだ、老人斑がいたるところに大きく出ている、それでも彼は生きている。 妻を怒らせ、悲しませる、しかし生きている。 生とは負債を重ねていくようなものかもしれない。 俳優は役になる器である、という言葉があるそうだ。 彼の地であるのか、どこかでカメラに向かう俳優なのかわからない。 私が老いて、家人に怒鳴り怒るという風にはなりたくない、と思うがそのとき自分を制御できる自信はない。

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