私の死棺の前で  296

 僕の死棺の前で 
あいつはよく生きた
あいつはよくやった
などと言われたくない
よくやってないし
よくも生きていない
未練や反省ばかりだ

楽しいことや
嬉しいことよりも
苦しく悲しい事のほうが
よく覚えている
ただ今は思い出と言う
箱の中にあるだけだ
引き出したくもないが
勝手に出てきやがる

僕の死棺の前で
十分な人生だ
いい人生だ
などと言って欲しくない
十分であるはずもないし
いい人生だなんてとても
だから
言ってほしくない


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