浩介は ⑤
そして一人となって、多くの友やしがらみと自然のうちに縁遠くなり、始めて自分を見つめる日々が続いた。不思議なものでそう言うオーラが出ているのか、ほとんど連絡も来なくなってきた。近くの山にのぼり、小さな旅行や映画や読書の日々が続いた。そんなある日、絵葉書が届いた。30年ほど前に仕事上で、一時頻繁に会っていた女性からだ。たしか東京で開業医と結婚している、と聞いていた。噂など聞いたことも無かったが、今は離婚して旧姓に戻っている、この秋に姫路城など観にくると言うことだ、電話番号も書いてある。とりあえずテキストメッセージを送った。私が独りと言うことは知らないはずだが、もし逢えるなら会っても良いと思う。彼女はもう50代の終わりの方だと思う。何故いま?とも思ったが、会って見れば分かるだろう。なんだか少し楽しくなった。
人恋しくなるのは若さの証明かも知れないな、と。
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