浩介は ⑦
昔の話は懐かしいがただもう現実感がなく、嫌なこともあったがどうでもいいことばかり、そして今の話になったが、初めて女房が亡くなったことを伝えたが、彼女はあまり驚かなかった。昔の同僚から聞いていたらしい。それなりに付き合いは続いていたようで懐かしい名前が出てきた。
「今夜は?」と聞くと西宮に学生時代の友人がいるから遅くなってもその彼女の家に泊まるとの話だ。時間は8時近くになっていた。少しはがっかりもしたが、それ以上の気持ちも無かった。駅までの15分ほどはこれからのことや弟のこと、つまり枚方の実家の相続のこととか、今回の相続で500万位の現金が入るとのことだった。そしていずれは大阪に帰ってきたい、とも言っていた。
駅で
「気をつけて」とだけ声を掛けて別れた。アドレス交換をしていたから
"今日はありがとうございました、30年前と同じように距離は感じませんでした。もし大阪に帰ってきたらまた連絡します"と書いてあった。もう加古川あたりだろうなあ、と線路を見上げたが電車が見えるはずもなかった。
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