浩介は ①
浩介は思った。今すれ違ったのは、あの女ではないか、苗字とも名とも取れた名前の女、二、三回会って、いや三、四回か、この差は大きい、何故なら二、三回は偶然とお愛想であり得るが、四回となると明らかに両者の意思がないと無理だ。なぜか自然と別れる、別れたようになったのは、彼女は熱心なクリスチャンで入信を勧められたわけではないが、集会とかイベントに何回も誘われて、まあそれで嫌になった。
大昔、学生集会や反戦集会に誘って、その度に断られた思いが浩介の頭をよぎった、その彼女は大分の出身でまあ普通の女子大生だったが、何回か誘うとそのうち返事も来なくなって、気がついたら遠い存在になっていたのだ。
久しぶりの堀の側は落ち葉が舞い始め冬装備のランナーが目に付き始めていた。(龍井浩介シリーズ 1)
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