モチノキと



 「モチノキと木瓜の花」  (ブラントその4)

「どこかに行こうとする、その時、いろんなこと下調べしていく?」男
「たとえば?」女
「まあ泊まるとこくらいは決めているとして、昼飯をどこで食べるか、とかさ」
「私は決めないわ、あなたは?」
「僕も決めないけど、結局ファミレスみたいなとこに入るのもなあ」
「いるね、蕎麦屋とか変わった場所調べる人は」
「行き当たりばったりがいいけど、そうそうあのカツオのタタキはよかったね」
「高知ね」
「ほら!藁で焼いてたよなあ」
「缶ビール買いに行ったら、つりががないて」
「つりはチップて」
「簡易ていうか小さな水族館があったね」
「そうそう、あなた居なくなってさ、すこし慌てたなあ」
「そんなこともあったね、何年になるかな?」
「20年はならないけど15年かな」
「あの日はどうしたのかな?」
「高松の金比羅山で」
「ああ、あの仲居が面白かったね」
「泣いてたね」 
「なぜあんなことに?」
「別れた男の話からだよ」
「貢いだけど騙されて、だけどまだ好きだって」
「いい女だったね」
「もっ」



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