早逝譚

                           (夢は欲に！)

 「おい、あっけなかったね、あいつさ」　　

「ほんとだね、あいつがさ、一番長生きするて皆言ってたのにね」

「なんかさ、若いって見せてたけど、あれ結構しんどかったみたいだね」

「そうか、そうは見えなかった、ていうか見せなかったのかな？」

「ああカッコしーだったからなあ」

「足首が痛い、肩が痛い肘が、とか痛いとこだらけだったらしいね」

「結局、ガンだったね、大腸ガンだったらしいよ」

「あのさ、少し前に皆で飲んだな、あれが最後だったね」

「そういやさ、あの時少し元気なかったね」

「そんな事ないさ、まだまだだ、てさ、女もさ、まだまだ、て」

「そうだなあ、あれも見栄だったのかなあ」

「いい奴だったけど、カッコしだったね」

「まあ供養だから今夜は飲んでやろうか！」

死ぬ時は

箸置くやうに

草の花

(小川軽舟)