「落葉樹」 ①

 いつものように家人は筋トレと称する老人だけのトレーニングハウスに出ていった。亮輔は三左衛門堀にウォーキングのために家をでる。冬の太陽は久しぶりに心地よい暖かさを降り注いでいる。堀端に着くと落ち葉が最初に目に入る。ウォーキングロードには平日のせいか人影はない、時々ウォーキングの人に会う。ここらあたりは桜並木なので大柄の落ち葉が多い、桜の葉は平凡な小判形である。
落ち葉は落ちると色が変わる、すぐに変色するもの2、3日は保つがしばらくすると精彩を失くすもの、全く元の色から脱却するもの、色々である。もみじなどはその典型で日にちが経つほど汚い色になる、桜の葉は比較的元の色が長く保てる葉だ。時々緑色葉も落ちている、強い風に無理やり落とされたのだろう。なんだか人生を感じる。今でも働いているもの、もう用無しになって朽ちるように道に横たわるもの、亮輔は大阪横堀川ほとりの小さな部屋を思い出した。


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