落葉樹   ③

  堀端を南に下ると「しょうだ橋」から楠の並木に変わる、常緑樹だから落ち葉はなくなる。夏も冬も大きな影を作っている、なぜこのような並木にしたのか分からない。この時期になると堀の川面はほとんど見えないくらいにホテイアオイの葉が生い茂っている。
 バイパスの下の橋を東に渡りまた折り返す、約3000歩歩いたことになる。時々散歩する人や自転車で街の方に行く人にすれ違う。 もうこのコースに変えて何年になるだろう、自宅から往復7000歩くらいの距離である。かっては手柄山からのコースだったのでこれに3000歩はプラスすることになるが、もう一万歩はきつくなってきた。
 人は変わる、時代も変わる、ただその変化をなかなか認めたくない、いつまでも若い、いつまでも元気だと思いたいものだ、その変化を認める兆候と言うのか後押しが病気であったり知人友人の他界であるのは皮肉なものである、亮輔は苦笑いをしながら北に歩いた、すれ違った夫婦連れが奇異な目で亮輔を見送っていた。  
  今日から独居である、家人は神戸で3日間は帰らない、こんな日々が続くことがいつか来るかも知れない、と思いながら帰宅への道に就いた。

 今夜は「庄助」か「おかの」にでも行こう、しかしこんな日に限って行かないものだ。自宅でイカ墨スパゲッティを食べるに違いない。しかし、意を決して「左門」行くことにした。そごで由香里に会った、てわけだ。

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