冷たい額


 読経が終わり、住職が退席すると、少し座がざわついた。案内係が皆様今日のお別れをしましょう、と紙細工の飾り物をくれる。お棺が開かれて死者の顔が見える、それはまさしくあの彼だったが、閉じられた瞼は塑像のように開かない。額に手を置くと、それは2度と現世に戻らないと拒絶するかの様に冷たかった。ミノルは改めて彼が他界したことを思った。やがて再び棺は閉じられた。参列者のざわめきも再び沈黙に変わった。
生前彼が描いた水彩画だ。ミノルはそのリアリティに感心していたのに、、、

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