墓守、墓参り



 花のお江戸で傷心の日々を送っていたK君に、こちらに帰って来いよ、と言ったが「墓守りせなあかんから帰れない」と、最後は静岡の富士山が見える部屋で、吐血して他界した。毎日酒浸りだったらしい。
 何年間か堺筋本町のワンルームで仕事をしたM君、持病はなかったはずだが、ある年に年賀状の返信で、姉から「Mは昨年末に亡くなりました」とハガキが来た。死因は書いて無かった。彼も夏になったら毎年、福井に墓参りに行き雑草を取っていたらしい。二人とも親や先祖を大切にしていたのだろう。瀬戸内寂聴の「九七歳の遺言」を読んでいたらそんな稿が出て来たので、二人の事を思い出した。二人とも変わってはいた、がいい奴だったなあ!
Kは20年Mは15年になるかなあ、亡くなって。

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