近くの

 近くの未亡人が急逝したそうだ。まだ70歳になっていない。胃癌だったらしい。知らなかった。2、3日前にワゴン車が止まっていた。その前日にその未亡人の車に若い男が一人で乗っていた。亡くなったと聞いて、その若い男は息子であり、ワゴン車は葬儀の相談かと思い当たった。夫君は7年前にやはり癌系統の病で他界している。彼とは仲が良かった。ソフトボールや祭りでは一緒に楽しくやった。祭りの時などは二人の前にはいつも大量のビールの空き缶があった。   私より二、三歳若かったはずだ。歳を取って「一杯やろう」と何回か誘ったが、いつも断られた。聞いたところではその未亡人が反対していたらしい。理由は分からない。
 葬儀をやらない時代になっているから、そんな訃報がなかなか聞こえてこない。
 いいか悪いかわからないが、人知れず彼岸に逝く時代になってしまった。
 一人で死ぬ方がいい、家族に見守られて死ぬ方が辛い、と寂聴は言っているが、どうなんだろうか。
寂聴はこうも言っている。
「死ぬことなんか考えなくていい、いつか必ず死ぬし、いつか分からないから」と。

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