ホントの事 320

 遠い昔「本当のことを言うと世界が凍る」と嘯いていた青年は、今老境から黄境に差し掛かり「ほんとのことは言えないがそうと分からない言い方で言う」ようになった。そしてその青年は永遠に本当のことを言えないだろう。それがいいかどうかは分からないが、多分そうすることが誰も傷つけなくていいと思ったからだろう。しかし、そのことで本当の気持ちが相手に伝わらなくなった時がある、と思うんだろうね時々。

　だからいつも簡潔に本当のことを言う方が良かったのかも知れない、とも思う。

4161050