淡駕島    (24) ...

  我々の休みと言ったものは特に決められてなくて
「明日は休みたい」「姫島に帰りたい」というとほとんど休めた。だれに許可を得る、でもなく、まゆみに言えばこと足りた。まあそれだけ、自由だった。だからきつい労働にも耐えられたのだ、と思う、しかし、週休2日なんて贅沢も無かった。今なら、ブラック企業、過重労働と問題になるのだろうが、当時の労働環境とか、私達のアルバイトなどはそんなところだったはずだ。幸市は西宮、神戸、大阪でいわば学生時代の半分はアルバイトで過ごしたと思うが、この淡駕島のアルバイトが特別悪いものだとは思わなかった。
 その頃、まゆみと山村の関係が終わりを迎えてたようだ。二人の関係の始まりは去年のアルバイトからであるのは分かっているが、ふたりがどんな関係にまでなっているかは知らない。まゆみも山村もそのことは一切話さなかったし、聞きもしなかった。
 しかし、その頃からまゆみが幸市にいろんな話をするようになって来たのもまた事実だった。夏の終わりには手を握るくらいの関係になっていた。夏休みが終わると下宿に来るようになった。夏が終わり秋が来た。




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