「目撃 天安門事件」を読む


 加藤青延著。2020年刊。
 1989年6月のあの事件は世界中にその映像が放送された。当時の学生や市民が何人死んだか分からない。当局と市民側の報告の数はそれこそ月とスッポンほどの差がある。今だに当局があの事件に関してヒステリックに反応するのと逆に世界の民は忘れつつある。この本の最終章であの「戦車に立ちはだかる男」の事が書いてある。"戦車は人民を殺さない"とのエピソードを生み出した画像は私も鮮明に思い出す。しかし、場所、時間、彼の服装、彼のその後から"やらせ"だと推測できると著者は解く。もはや36年、自由主義国なら明らかにされてもいい時間が経過している、おそらく今の一党独裁が終焉しない限り不明のままだろう。西側諸国、その人々はやがてなる、そうなる、と思っているだろうか、今のロシアやイスラエルを見ていると、そんな時代が来るだろうか、と思えてくる。"自由な国"が幻なのか、そもそも自由なんかあったのか、と。
 私達は幻想の世界に今も生きているのではないだろうか、と。

写真は2015年です。天津近郊の万里の長城近くの食堂にて。もう10年か!

コメント

人気の投稿