映画「ザ・ライフルマン」

     (2019.ラトビア)
ラトビアという小国がある。バルト三国の一つ。
 ヨーロッパの人間にとって「戦争」とは第一次大戦と言うことになるそうだ。すると第二次世界大戦は?
「ナチスとの戦い」とでも言うのだろうか?
 ロシア皇帝のもとドイツと戦ったこのラトビアの少年は母親をドイツ兵に殺され、父も兄も戦死する。やがて、ロシアは革命が起き、皇帝への忠誠から、今度は赤軍とともに戦うことになる。何が正しいのかわからない、親友が反逆行為で赤軍に銃殺される、国の論理、政治の論理に翻弄される少年、私たちの知らない欧州の戦争、実話をもとに作られた映画。
原作「吹き荒れる魂」は長くロシアで発禁処分だったそうだ。
 第一次大戦はセルビアのナショナリストがオーストリアの皇太子を暗殺したことから始まる。ハンガリーオーストリア帝国とドイツVS英、露、仏、セルビアとの欧州戦争になった。しかし、伏線は第一次、第二次バルカン戦争である。結果、オスマン帝国の衰亡、ブルガリアの領土欲求等、やがて第一次大戦となる。そして敗戦のドイツはやがてヒトラーを産む。バルカンはヨーロッパの火薬庫と呼ばれ、1990年代のユーゴ紛争につながることになる。領土、民族、宗教の対立である。この火種が現在も、全く無くなった訳ではない。

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