吉村昭

 池上冬樹編「吉村昭後期短編集」を借りた。吉村昭は私の好きな作家だ。短編もかなり読んだが「桜田門外ノ変」も父が購入していたので、父が亡くなってから読んだ。この短編集では彼の自伝的な作品が多く、彼が幼少期に結核療養していたシーンが多く出て来る。それと彼の同級生が亡くなる話も多く出てくる。もう一つは遺産相続、認知した子供がいる遺産相続のはなし、正嫡子と婚外子の子供の相続の話が出てくる。この短編は見事だ。彼の短編は解決とか決着と言うことにはならない、少しややこしい話にはなるが、最後は「ところでどう思う?」と聞いてくるようだ。
 いつのまにか最後まで読んでしまうのは彼の筆致の細やかさと決してずれてはいない世間感覚なのだろう。
 感想は?と聞かれたら「澱のようには残らないが目の前を一陣の風が通り過ぎていくように感じる既視感」とでも書いておきましょう。
歳をとると吉村昭、か!

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