落ち着く、慣れる、狎れる

 家人が夏物スリッパを下ろした。今までのものは少し暑苦しいから。底地が畳様である。右足、左足がそろそろ馴染んできた。何日か履いていると足に馴染んでくるから、左右間違えると違和感がある。
 人間関係も似たようなところがある、二、三回会ううちに、合うか合わないかがわかってくる。だから、まあ30年も付き合っていると言うのは、合っていると言ってもよい。まして50年以上ともなると、もう合う合わないは通り越している、と思っていた。
 言い過ぎる、詰る、茶化す、なんてことをさんざんやってきての50年だと思う。まあ、肝胆相照らす、なんて大袈裟ではないが、それに近いと。
ところが、そうでないこともあるらしい。元々、私は根に持たないタイプで、これは良いことでもあるが、根性がないことと裏腹だ、人から嫌なことを言われてもされても忘れてしまう方だし、交友関係に於いては「去る者は追わず来るものは拒まず」が指針である。
 しかし、私の想像や理解を超えることもあるなあ、と考えることもある。
七十にして矩を超えず、自らは矩を超えずとも人は私の矩を超えるのかも知れない。
"僕が本当のことを言うと世界は凍る"これは今でも生きている。だから本当のことは言わない。
いつまでも仏の心を持つことは続かないべさ。

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