奄美未練情 Ⅻ
「実は私、死ぬつもりでした。だから来たのです。本気かと言われたら、いい場所があれば、とか考えていました。明日が最後だから今夜どうしようかと、、、」
「死んでどうなるの?」「腹いせ?」「そんな男は、、」
「いっぱい居ると言いたいのですか?」と彼女は語気を強めた。流石に失言だった、と。
「とにかく、その子供のこととか片付いたの?」
「いえ、義母がやってくれてると思います」彼女
「やはり死んでもつまらないでしょ!これしか言えないね」とどうでもいい風に話した。
「ごめんなさい、変な話しになりました、もうやめましょう」
時間は8時になっていた、客はカウンターの一組だけで我々の声がよく聞こえる様になっていた。
「お勘定を」と彼女を制して支払いをした。彼女は外の小さな植え込みに立っていた。
「少し離れて帰りましょう、やはりツアーの皆さんの目もありますから」
「はい」と小さく返事が来た。
「もし良かったら部屋で飲みましょう。氷は用意しておきます」しかし返事は無かった、いや聞こえ無かったのかもしれない。まだ少し明るさの残る7月の南国の夜、一人で歩き始めた。 おお、この雲の高いこと!
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