「星落ちてなお」


 澤田瞳子、直木賞受賞作。江戸末期から明治始めまで生きた河鍋暁斎のむすめである河鍋暁翠、とよが主人公の小説。狩野派の流れを汲む暁斎は異才画家、画家のプロトタイプのような画家、娘は父の異才の継承と明治の洋風画風流行の波の中、異母兄、弟、スポンサーなどの人間関係の中で時代の波に翻弄されていく。

 しかし、よくもまあこれだけ調べたものだと感心する。資料を読み解き、想像力を働かせ、且つ自分の視点、自分の位置から見据えた時代を書き溜めた良作である。

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