男鹿島   (15) ..

 毎日が毎日のように、そして夜が普通の夜のようになり出した。ハマチの養殖の用事が終わるとバンガローの維持で夕方海水浴場に帰る、飯を食ったらバタンキューの日々が続いた。麗とは「おはよー」くらいしか言わない言えない関係は続く、まゆみとは家族や恋愛についても話は出来るようになっていった。
 さて生鮮船について説明しよう。我々の「タンガ丸」は15トン、前甲板の下は生簀になっている。底には15ほどの穴が開いている。荷物を積む時は穴は塞がれている、生簀に魚を入れて運ぶ時は穴を開けて海水が自由に出入りする、港に着いて穴を塞ぎ海水をポンプで抜いて魚を水揚げする。生鮮船は水を入れていれば喫水が深く船は安定する、高知港で見た生鮮船は100トンくらいだったが、「この船は太平洋でも渡れる」と稚魚の業者が自慢げに話したことを覚えている。(トン数についてはいろいろあるが、1トン樽を何個積めたか、あるいは何トンの荷物を詰めるか、などあるが、ここでは船の本体に水を入れたら何トンの水が入るか、と理解してほしい)高知港にはいっぱい大型生鮮船が停泊していた、どの船にも船首横には派手な彫物が施してあった。
 ついでに「ゴーヘン」は前進、「ゴスタン」がバック、これは運航の公用語なのかあるいは佐垣氏だけの呼称なのかは未だに知らない。


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