男鹿島    (12)

 風呂は幸市の自宅と比べて少し大きく、バスタブも広い。湯船に入り足を伸ばす、久しぶりのゆったりとした入浴、焼けた肌がしみる。若い女の匂いがする。媚薬のように鼻をくすぐる。2人の裸が浮かぶ、と言っても見た事はないが、、
脱衣所に出ると、新しい肌着が用意してあった。着衣して、居間に戻るとまゆみがお茶を入れてくれていた。
 「肌着は?」
「ああ父の新しいのがあったから、多分着替えはもってきていないと思ったから」
的場の自宅はここからは30分ほどかかる、自宅に寄ってくれ、とも言わないし寄りたくも無かった。女たちと一緒にいる方が楽しいに決まっている。
「寝るところは隣の部屋だから、いつ寝てもいいわ」
まゆみは幸市より一つ上、高校を出て家事見習いをしながらお金を貯めて喫茶店をしたい、と車と船の中で話していた、話をはじめると人懐こさが出てくる、島にいる時とは違う。船の中で、
 山村と付き合ってるの?と聞いたが笑って誤魔化された。じゃそろそろ寝ようとなった。彼女達は二階で寝るらしい、階段から誰かが降りてくるような音がしてなかなか寝られなかった。そんなことは起こらないに決まっているが、、、

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