男鹿島   ②


 20分ほどすると本島の島影がはっきりと見えてきた。左手に男鹿島の船着場が見える。この便は男鹿島には寄らない、直接、本島の真浦港に着く。そして坊瀬島に向かう  

 高校の同級生の山村から男鹿島のアルバイトに行かないかと誘われたのは大学が夏休みに入る前、6月の終わり頃だった。まだ梅雨の最中で土砂降りの中、自宅の前で傘をさしながら話を聞いた。仕事は?と聞いたが「バンガローの掃除」くらいにしか彼は言わない。6月30日飾磨港で待ち合わせた我々は「坊瀬汽船」に乗った。僕は男鹿島は勿論、家島諸島のどの島にも行ったことがないので、初めての島、そして初めての仕事に興奮していた。やがて、「タミの浜」に船は着いた。港には若い女が待っていた。
綺麗な人だった。
 


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