あのね、この歳に ❺

「あのね、この歳になると自分のことより、人に何かしてあげる、とかなんか役に立つてことが生き甲斐にならない？」A

「そうだね、だけど、どうした？なんか死期が近いみたいな言い方だね」Ｂ

「最近さ、つくづくそう思うんだよ」A

「快楽も　人と分けてぞ　嬉しかり　　か」Ｂ

「分かる？」A

「俺はまだまだそうならないよ」Ｂ

「まあどうせ大した人生でもなかったしね」A

「君のうたあったね、

　　問いもせず

　　問われもせずに

　　小人生　　　だったか。」Ｂ

「そうそう」A

「しかし、このうたは逆に、自分への執着が見えるよ」Ｂ

「そうかな？」A

「人は人、それぞれの見方がある、それでよろしい」Ｂ

「お前、彼女どうした？」A

「離婚したと人づてに聞いた、しかし、それで終わり、連絡なしだよ」Ｂ

「そうか、山動いて、谷埋まらず、か？」

「そんな格言あった？」

「今、作った」