影に対して  ・遠藤周作

「 影に対して」を読んだ。短編である。短編集の最初の作品である。80ページ、だから120〜30枚(104枚とのこと)くらいであろう。内容はTVで知っていた。まず彼が阪神間の出身、これを知らなかった、灘高出も知らなかった、あるいは知ってたが忘れたか。
 誰か評論家が書いていたが、遠藤は真面目な作品と不真面目?ちがうが戯れ的作品を書き分けることが出来る、みたいな事。そう言う意味ではこれは真面目な作品だろう。自分の家族、父や母のことを真実に近い形で表すのはやはり躊躇したはず、だから発表せずに隠していたのだろう。母の不幸、自分の不甲斐なさ、しかし、公表されれば、もう今更なあ、と思える。つまり遠藤ももう気にしなくてすんだろう、と思う。どんな恥でも忌まわしいことでも活字になれば、漂白されて無毒化するのかもしれない。少なくともその筆者にとっては。


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