「春に散る」その2


 予想通り、上巻はすぐに読み終わり、下巻に入る。ところが上巻の終わり頃から、何か既視感にたびたび襲われた。もしかして、これは過去に読んだかも知れない、と。家人も「読んでない?」と読んだでしょうの方向で聞いてくる。古い友人のボクサーが大きな一軒家を借りて住む、と言うあたりになると、やはり読んでいるかも、と読書記録をくってみた。2015年刊だがこの本は2017年の三刷だ。2017年から2021年までの記録にはない、しかし、2015年刊を読んでいるかもしれない。もう一度読書記録を見た、やはり無い、この記録の中で沢木耕太郎の本は5〜6冊は読んでいるがその本の記録はない。無い事を祈りながら見た、やはりない。そうだなあ、いくらなんでも一度読んでたら100ページも読めば思い出すだろうなあ、と自分を納得させたが、一抹の不安を残したまま下巻に入る、最後まで読めば分かるだろう、それだけが頼りだ。
 主人公が現役のプロボクサーを行きがかりでのしてしまう(ここまでは読んだ)そして、その青年は一緒にシェアハウスに住み着くようになり、佳菜子という女性とその青年は恋に落ち、シェアハウスの裏庭に作ったリングで練習した青年はボクシングの技を磨きそして世界チャンピオンになると、このストーリーが合っていたらやはり読んだことになる。
 もしそうなら僕はまずいことになる、極めてまずい。一度読んだ小説を完全に忘れて居ることになる。その時は認知症外来の門をくぐろう!

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